リウ―を待ちながら 2巻
リウーを待ちながら 2巻
著者 朱戸アオ
2017年個人的に激おもしろかった漫画。
ざっくりとあらすじを説明すると、自衛隊がPKO活動でキルギスから持ち帰ってしまった肺ペストと多剤耐性をもったサルモネラ菌が富士山で奇跡の出会いを果たして死なないペスト菌に変質してしまって大変な事態に進展してゆくのでした…
…でいいのか?
これね、作者の取材量と勉強量が凄まじすぎてその辺のパンピーの僕らには理解できない漫画なんですよね。
ただ理解できないからこそ、漫画の世界で起こっている事をリアルに感じられる。
重大なニュースなんか食事の片手間に見ながら「あー言ってる事はわかんないけど、ヤバイということね、はいはい。」みたいな感じ現代の日本人なら誰しも体験しているんじゃないかな?
この作品を読んでいるとカッコいい医者になりきれるんじゃなくて、パニックをただ過ぎ去ってくれるのを待つ一般市民の一人として楽しめるんですよ。
しかしながら刻一刻と事態はゆっくりと悪化していく様子も物語の傍観者としてはたまらん描写なのです。
youtu.be新型インフルエンザAで大阪府茨木市がゴーストタウン状態
この作品を読んでいると、世界で猛威を振るっていた新型インフルエンザの発症者が私の地元で見つかった出来事を思い出します。
9年も前の出来事ですが、たしか日本で一番初めに見つかったような記憶がありますね。
私は京都の学校へ電車で通学していたのですが「ちょっとでも異変があったら休んでいいからね(お前エンガチョーだから来るな)」の言葉が痛かったなぁ…(涙)
当時、youtubeに地元がゴーストタウン状態だ!とかでアップされた動画を未だに見ると悔しくなりますね、だって田舎すぎてこの風景が日常茶飯事なんだもんなぁ…。
さて、リウーも待ちながらでも感染地域に暮らす人達も差別を受けます。感染地域は隔離されていますし物資は少なくなってきてジリ貧状態です。
ここでスーパードクターが特効薬を見つけるのが普通の漫画なんですが、この物語には普通の人達しか登場しません。
普通の人が仕事してお弁当を食べる 普通の人だから感染症で家族を失う、
ごく普通の人達が感染症と戦うお話
アウトブレイク系の映画のコンテイジョンでは登場人物が英雄的行動を起こしてワクチンが開発されたし、ブラインドネスでは主人公は最後まで失明する感染症にかからなかった。
このブログの記事を書いている頃、リウーを待ちながらは連載誌のほうでは完結したそうだけど、きっとラストまで英雄も超人も登場しないんだろうなぁ。
普通の人間が死力を尽くすからこそ、人の生命は輝いて見えるのだと思う。たぶん。
絶対面白いから読め。おわり。
追記。リウーを待ちながらの元になったFinal Phaseという作品すげー読んでみたいんですけどプレミアがついてますね(泣)
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